デジカメの選択(2004/1)
ついにデジカメは銀塩カメラを乗り越えて映像記録機器のトップに踊り出た。購入に当たっての助言を求められる事も多いので、民生用のデジカメに付いての私の知見を纏めた。 選択に当たっては次の点に注目すべきと考えている。(スナップ程度の用途なら5番まで)
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以上はデジカメの仕様書に記載の項目であるが、これだけを見ると何を購入しても良いように見える。現実にどのカメラを使っても水準以上の画像は撮れる。
最近気になりだしたのは、各社の(カメラ毎か?)画像処理のアルゴリズムである。デジカメはCCDの3ミクロン程度の画素に蓄積された光の情報を取り込んで、演算回路を通して色の演算、シャープネス、圧縮等の各種演算処理の後、メモリにデータを送っている。 青空の色を妙に強調するようになっていたり、花園を写すと妙に花や葉が強調されたりするカメラが多い。 下の写真はいずれも200万画素の画像である。 右のほうの横に走っているケーブルの上下に色の薄い部分があるが(電柱の左側にも見られる)、これがシャープネスの影響と思っている。 色調の違いは補色系(左)と原色系(右)の差と、色の演算時の差で補正したければ容易に補正できるが、シャープネスの影響は補正できない。
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その他持っておくと便利なもの |
画素数 画素数が多いほど写真が詳細になり解像度が上がるという誤解があり(誤解と言い切るには問題があるが民生用の範囲では言っても良いだろう)、メーカーは画素数増大競争に大童な状況にあるが、画素数に付いては印刷及びファイルサイズの点から多ければ良いと言うものではないと思う。 |
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印刷に必要なドット数 インクジェットプリンタで写真印刷するときには1インチ当たり150点のデータがあれば良いと言われている。 200万画素は1600X1200ピクセルの画像なので、A4( 約280X200mm)にデジタル写真を印刷するときには、短辺が152dpi程度になる(1200*25.4/200=152dpi)これで充分である。
ファイルサイズ
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CCDサイズ 画素数に対してチップサイズが小さい(画素ピッチが小さい)ほど感度が低いので、ダイナミックレンジが狭くなる。 蓄積される信号量も少ないのでゲインアップ する必要があり結果としてS/N比が落ちる。(ノイズが増える) チップサイズが小さいほどコストは安くなり、小型化、低消費電力になるが、私としてはあまり小さいCCDは勧めたくない。 ちなみにCCDサイズは対角寸法と思っていたが、実際の寸法とは全く違うもので、一種の呼びサイズである。よく使われているものの実例をここに示す。
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フラッシュ 最近のフラッシュの性能をカタログデータから拾い集めてみた。ほんの一部で全体を推定出来ないかもしれないが、レンズの明るさは広角端での F=2.8 が大多数を占めている。これに対して、フラッシュの可能範囲には相当な差があり、室内集合写真を撮る事を考えて、広角端で少しでも可能距離の長いものを選択すべきである。 所謂コンパクトタイプのものは、フラッシュを使っての撮影には不向きと言うことになる。
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偏光フィルタ (マニアックな人向け) 光は「波」の性質も持っており、回折現象が起きる。 絞りを通過する時に生じた回折光が焦点の周囲にボケになる。 その大きさは絞り値(F値)に比例して大きくなり、F22で半径15ミクロン程度になる。 銀塩フィルムの場合には半径15ミクロンは無視できるが、CCDのピッチ3ミクロン程度のデジカメでは、ボケが激しくて実用にならない。 F8に絞ったときのボケの半径は約4ミクロンで、デジカメのF値が8程度を上限にしている理由がここにある。 したがって光量が大きい風景写真の撮影に当たっては、光量を減ずるフィルターの使用が必要になるときがある。 同時に、風景などを撮影するときには、反射光が意外に多く(特に空とか木の葉、花弁など)、偏光フィルタを使うと偏光がカットされ鮮やかな画像を得る事が出来る。 偏光フィルタは2〜3絞り分光量をカットするので、その点でも好都合である。 ただし、偏光角度の設定に手間取るので、じっくり腰を落ち着けた撮影に限定されるが、非常に面白い小道具ではある。 ここにサンプルを出すが部屋の窓から庭の植木を写したものである。 回折現象を避けるために、絞りを固定して撮影した。 200万画素の画像から、そのまま切り出したものである。
写真の編集 デジカメで撮影するときには、メモリ容量は可能な限り大きいものを使い、写真のサイズ及び品質も最高にして撮影する。 写真をそのまま印刷するときにはそのまま印刷するが、ホームページやメールに使うときには、リサイズ・リサンプリングして写真サイズを小さくし、圧縮も掛けてファイルサイズを小さくして使う。 この写真の編集に付いては、簡便な方法をこちらで紹介している。 |