台風と温帯低気圧について  
気象庁のホームページには予報用語として次の記載がある。
低気圧 低気圧は、その発生域や立体構造から温帯低気圧と熱帯低気圧に分けられるが、単に「低気圧」と言った場合は温帯低気圧のことをいう。

備考

台風が温帯低気圧に変わったときなど、その変化を強調する場合に用いる。
     
熱帯低気圧    

1)

熱帯または亜熱帯地方に発生する低気圧の総称で、風の弱いものから台風やハリケーンのように強いものまである。

2)

気象情報等で「熱帯低気圧」を用いる場合は、台風に満たない、低気圧域内の最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)未満のものを指す。
台風 北西太平洋に存在する熱帯低気圧のうち、低気圧域内の最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のもの。
   
温帯低気圧  
  中緯度や高緯度に発生する低気圧。

備考 a)

台風は最大風速がおよそ17m/s(34ノット)以上であるため、“台風並みに”を低気圧に用いても発達程度を適切に表現することはできない。

b)

必要に応じ、「猛烈な風」「非常に強い風」を伴う発達した低気圧などとする。
台風並みに発達した低気圧 とは言わない

その他ネット上で参考にした記述(要約している)

台風と熱帯低気圧は同じ仲間で規模が違うだけ。 熱帯低気圧とは、亜熱帯や熱帯で海から大量の水蒸気が上昇することにより空気が渦を巻いて出来る低気圧のこと。 この熱帯低気圧が発達して風速が 17.2m/s を超えると台風と呼び名が変わる。
また、冷たい空気と暖かい空気がぶつかる場所を前線と言うが、熱帯低気圧や台風は暖かい空気だけで出来ているので前線が出来ない。

台風から変わる温帯低気圧:台風(熱帯低気圧)は暖かな空気の渦巻きだが、温帯低気圧は暖気と冷たい空気が渦を巻きながら混ざり合う現象。台風が北上して北方の冷たい空気を巻き込み始めると、構造の変化により温帯低気圧に変わることが多い。

温帯低気圧は、北側の冷たい空気と南側の暖かい空気が混ざりあおうとして空気が渦を巻くことにより出来る。 冷たい空気と暖かい空気がぶつかりあうので、温帯低気圧には寒冷前線(冷たい空気が暖かい空気に追いついている場所)と温暖前線(暖かい空気が冷たい空気に追いついている場所)が出来る。 また、温帯低気圧が発達して風速が 17.2m/s を超えても台風とは呼ばない。

以上を纏めると、気象庁の言う発生域と立体構造の差とは、次のように考えられる。

発生域 熱帯低気圧 陸上では発生せず海上でも海面水温が26〜27℃以上でないと発生しない。
  温帯低気圧 中緯度の偏西風の下で発生・発達する。
立体構造 熱帯低気圧 赤道付近の豊富な「熱」エネルギーによって温められた海水(水蒸気)が上昇し発達したもの。 その際地球の自転の影響で北半球では反時計方向に渦巻くことになる。また熱帯低気圧には、寒気と暖気の温度差で発達したものではないので前線がない。
  温帯低気圧 偏西風の北側には北極からの寒気、偏西風の南側には赤道方面からの暖気があり、重たい(冷たい)空気が、軽い(暖かい)空気の下に入り込もうとする位置エネルギーによって 暖かい空気の上昇が生じる。この際にも地球の自転の影響で、反時計方向の渦になる。また、低気圧の中心から、南東方向にのびる「温暖前線」と南西方向にのびる「寒冷前線」をともなう。

 1月7日 12時のNHKニュースでは、「猛烈な風を伴う低気圧」と言っていた。お役所仲間なので気象庁の表現に準ずるのは当然だろうが、台風が衰えたとき「温帯低気圧に変わりました」と言うのでは、温帯低気圧の規模は台風より小さいと思うのは私だけだろうか・・・。

温帯低気圧の内爆発的に発達する低気圧を「爆弾低気圧」と言うらしい。(これは気象庁の予報用語集にはないが俗語としては使われている)定義は「緯度60°を基準にとり、緯度φの所で中心気圧が24時間に24(sinφ/sin60°)hPa以上降下した温帯低気圧」となっている。 今回のものは6日に50hPa以上降下したのだから、これを使う方が分かりやすいのでは無かろうか。

認識不十分による横風横転などのニュースは聞きたくないもの。