ノートパソコンを主体としたシステム構築

 
友人の依頼で、ノートパソコンをメインにした家庭内ネット環境を作ることになった。 彼の自宅環境は2昔前のノートとプリンター、ADSL接続である 。 現在は顧問先から貸与されたIBMノート、持ち運び用に Let's Note(無線付き)を使っており、デジカメも年間2万ショット以上撮るバリバリのロートルである。

彼から出された希望条件をベースに以下に述べるような構成にした。

希望要件

1) 従来のパソコンが使えるかどうか・・・使えないことは無かろうが・・・

以前依頼されて選択したパソコンは Dynabook E5/511CME だった。 2002年春発売で、主たる仕様は CPU:Celeron 1.13GHz、メモリ:PC133 1GB(増設後)、HDD:30GB、OS:WIN-XP Home、Display:15" である。 CPUが非力なので、「お孫さんのトレーニング用に払い下げたら如何」ということにした。

2) 従来のプリンターが使えるかどうか・・・使えるだろうが機能を拡大した方が良いのでは・・・

ノートと同時期に購入した PIXUS 950i である。当時のフラグシップモデルなのだが、発売時期が2002年と古く、プリンター本体は比較的安いから新規購入を勧めた。 併せて次の希望条件を満たす物を選択することにした。

3) その他の希望要件

無線LANでネット接続したい。 ノートを持ち運んだ所で簡単に使いたい。

スキャナーが欲しい。  資料整理に必須なので・・・。


選択結果(と考え方)

1) ノートパソコン

私と同年代が使うので、動画・ゲーム・テレビに使うことはない。主たる使用用途はネットサーフ、メール、写真の編集、Office系ソフト、ホームページ作成等である。 長いことWIN-XPを使ってきたので、OSはWIN-XPを考えた。
間もなく WINDOWS7 が出る状況から、WIN-XPのマシンはなかなか見つからない。(Down Gradeを含めて)
東芝に電話で確かめたが、一般ユーザー用にはUp Grade 権付きはあるが Down Grade は殆ど無いとのこと。 そこでビジネス用のマシンをネットで丹念に調べて、今年春モデルに適当なものを見つけ購入した。
購入したノートの主仕様は次の通り。 型番:Dynabook Satellite T43 220C/5W
CPU:Celeron900 2.2GHz、メモリ:1GB(増設し3GBにした)、HDD:160GB、OS:WIN-XP(Up Grade権付き)、Display15.4" である。(この型番には Core2Duo の物ががあるのだが、何処を探しても売り切れていた) 
ただ残念な事は無線LANが内蔵されていないことで、東芝に尋ねたが営業を通せば増設出来そうな感触ではあるが、Satelliteは業務用なので、一般ユーザーは蚊帳の外なんだろう。 それでも増設メモリを含めて\47500ならコストパーフォーマンスの良い選択 だったと思う。
購入直後にリカバリディスクを使って、HDDを分割しCドライブを35GBとし、残りをデータ用のEドライブとした。アプリケーションも順調にインストール出来たのだが、貸与されていたIBMノートからデータを移す時にミスが出た。
IBMノートのHDD容量は40GBであり、システム管理者によりアプリケーションソフトもインストールしてあったので、 その他のセットアップを依頼されたとき、データ用のドライブを設定することを諦め、使用時の注意として「作成データは必ずマイドキュメント内に置くこと 」とし、メールデータは「マイドキュメント」の外に「mail」フォルダを作り、そこに入れるように設定しておいた。  こうしておけば、データの移行には「マイドキュメント」と「mail」ホルダを移せばいいことになる。
ところがメールデータの移行にミスが出た。Beckyを使っているのだが、mailデータを移しそのホルダをBeckyに認識させ無事完了と思って終わりとした。ところが深夜電話があり、Beckyの受信メールには2005年以降のメールがない又アドレス帳が空白であるとSOS、電話で状況を聞きながら分かったことは、「mail」ホルダの中に別のホルダがあり、そこを認識さすとアドレス帳は出てきたが、2008年4月以降のメールがないとのこと。どうも2008年以降のメールは別の場所に移ったようだ。 貸与されていたパソコンなのでデータ吸い出し後にリカバリを掛けたので打つ手がない。(HDDを取りだし復元をすれば可能性がなきにしもあらずだが・・・)
原因は、一時帰国の際重たいノートを持ち歩くのを嫌い、データを取り出してLet'sNoteに移し、赴任地に帰ってデータをIBMに移すことを行ったとか。その際、別の場所に移ってしまった事のようで、諦めてもらうしか手がない。
HDDを丸ごとコピーしておけば良かったのだが後の祭りである。最近のBeckyはデータの持ち運びに対応しているのだが・・・初心者には無理かも知れない。

2) プリンター

スキャナーも欲しいというが、 専用機は場所もとるし、フィルムスキャンをすることは無いので複合機を選択し、合わせて無線LAN接続出来る物を選択した、どの部屋からでも印刷することが出来る。(スキャンやコピー はその場所に行かねばならないが・・・)機種はPIXUS MX860 \30000弱

3) 無線LAN

無線LAN設置経験は10箇所程度あるが当初は可動範囲が狭く配置に苦労した。現在でも木造の2階の隅と1階の反対側で受信しないことも経験している。ネットで調べてもはっきりしないので量販店の専門家に尋ねて参考にした。
結局 Baffalo の WZR-HP-G300NH/P を選定した。2.4GHz帯を使っており、電子レンジの干渉を受けやすいが、a・g・bに加えてnにも対応していること、外付けHDDを接続してNASとして使えることが理由である。
設置してみたら、鉄筋コンクリート造個建ちであるが、吹き抜けの1階階段部に置いたらどの部屋でも問題なく接続出来た。  思いの外性能が向上していることを実感した。

4)  無線LAN設定トラブル

ところが、無線親機とカードの子機を入れたノートパソコンは簡単に無線接続ができたが、無線LAN内蔵の別のパソコンでは無線接続が出来ない。私が持参した無線LAN内蔵のパソコンも接続が出来ない。時間もないので別のパソコンは有線接続で使ってもらうことにして1日目を打ち切った。翌日自宅から繋がり難いサポートにやっとの思いで電話したら、「付属のCDから接続用のソフトを入れれば出来るはず」とのこと、「WIN-XP」標準の方法で行いたいと希望を述べたら、方法を教えてくれた。
メーカー専用の接続ソフトを使いたくない理由は、確かにそのメーカーのアクセスポイント(親機)に接続するのは簡単であるが、持ち歩いて他のアクセスポイントに接続するとき、メーカー専用の接続ソフトを使うことになり、接続方法にメーカーの独自性が出てくるので使いにくい。海外で訪問した会社の無線LANに接続出来ないとき、エンジニアの手助けをもらおうにも、日本語のメーカー独自の接続方法では手を上げることになる。WIN-XPの供えている接続方法なら、例え日本語が読めなくても画面とアイコンだけで接続設定が出来る。
数日後に友人宅からメーカーのサポートに電話しながら設定を行うことにした。ところが鉄筋コンクリート造なので携帯の電波が不安定で電話が切れる。話し中の中を何度もかけ直してやっとつながったと思えば、別のサポーターが出てきて、最初から説明のし直し・・・2時間ほど経って設定中に今度は携帯の電池切れ・・・。有線の電話機の近くで設定を行う事にしてサポーターと設定を始めたが、サポート終了時間を1時間以上過ぎても設定が出来ない。最後に、セキュリティを外して接続したいと申し出て、その方法をメモし電話を切り、その設定に取りかかったが、どこかでミスをしたのであろう完全に接続が出来なくなった。それまで接続出来ていたカード子機を挿したノートも無線でつながらない。やむなく親機をリセットしてケーブル接続で使ってもらうことにしてその日は引き上げた。
数日後再度設定をやり直すことにした。それまでの事情を説明し、本来機能のセキュリティを生かした無線を使い、2台目以降のノートはWIN-XPの無線設定を使いたいと申し述べて設定に掛かった。サポーターを2時間以上独占し、指示通りの設定を行 い子機を取り付けたノートは回復し無線接続が出来るものの、他の2台の無線LAN内蔵機器は接続出来ない。サポーター曰く「当社のカードを挿した物は使えており、無線LAN内蔵ノートが使えないのは、ノートメーカーに尋ねて下さい。当社の無線機能は正常です」、私は「今までこの2台のノートは国内海外で相当数の接続を行っており、問題点をどう説明すればいいのか分からない。今回のBaffaloのみ繋がらないと言えば、Baffaloに尋ねて下さいというに決まっている。さすれば、セキュリティを外して使いたいのでその方法を教えてくれ」、「当社の無線LAN機器をセキュリティ無しで使うことは絶対出来ません」と宣うしまつ。「そんな馬鹿な」と声を荒げたら「しばらくお待ち下さい」と音楽に切り替え誰かに相談したのだろう方法を教えてくれた。その設定で、子機を挿したノートと私が持参したノートは接続出来るようになったが、友人のノートだけは無線接続設定の一部にミス設定が残存し接続出来ない。専用ソフトを入れてくれと言うので、CDドライブのない機器だというと、ネットからダウンロードを勧められ、40分掛けてダウンロードし必要部分をインストールしたら、接続出来るようになった。(ところが、海外の会社でのセキュリティ設定等今までの設定は全て削除されてしまった)
ネット接続はセキュリティ無しで繋がるようになったが、無線LAN接続のプリンターに接続しなくなった。 プリンターメーカーのサポートのお世話になり、諸設定を削除し再インストールすることで回復した。やれやれ!
結局この無線LAN接続設定に3日間にわたり、延べ7時間ほど費やしたことになる。しかもセキュリティ無しの状態である。自宅を含め無線LANの設置を数カ所行ったが、無線の方には利用者の利便性の点からセキュリティ無しのIPアドレス自動発給にしている。(自宅はIPアドレス固定)無線LAN系列以外のLANはプライベートアドレスを変えて、ささやかなセキュリティとしている。今回はこの方法を採れなかったので、セキュリティ面で不安が残る。
ノートパソコンが高機能・多機能になるのはよいが、一方で過剰機能化していないだろうか。ネットブックが発売され囃されているのはこの反動だろう。しかしながらこれをメインマシンに使うにはあまりにも機能を特化し ディスプレイサイズが小さくて使い難い点があるように思う。この点でビジネス用に特化したマシンは自由に仕様を選べないという不便はあるが、見逃すことが出来ない。
この年になり頑固者でもあるので、ノートの機種選択を依頼されれば、主として海外で使うならIBM(現在はLenovo)、国内ならToshibaを勧めている。海外派遣者に持参して取り扱いを説明中にダウンし持ち帰ったノート、OSが変わったのでBIOSを変えたいと思っても対応しないメーカー、修理を依頼したらとんでもない費用を言い出すメーカー、等々を経験したのが起因である。さすがにメモリ増設にキーボードを外さねばならない機種はなくなったが・・・。
IBMはバンコックで電源が故障し途方に暮れた時に、電話帳で探したサービスステーションに依頼したら取りに来て数時間で修理し持って来て呉れ、事なきを得たことがあったし、今回の友人がインドで使うというのでIBMを推奨したのだが、バッテリーが不調になりニューデリーのIBMで無償交換出来た。 (ユーザー登録明細まであったとか)
Toshibaを勧める理由は、現在でも秋葉原で対面サービスをしているし、OSが変わってもネット上にドライバーが置いてある。 (新しいOSは新しいパソコンでお使い下さいと言わんばかりのメーカーが多いが・・・、少なくともIBM・Toshibaでドライバーがネット上から見つからなかったことはない)
特に業務用として製造しているノートは堅実であり、煩わしい余分なソフトもない。 今まで中古を含め多数のマシンを世話した。
無線LANについては、セキュリティ技術の進歩に、私の老いぼれた能力が追いつかないと思うので、今後手を出す事は慎重にしたい。メーカーサポートも5人に世話になったが、話して安心出来たのは1人だけだった。レベル向上を望みたい。