広大な国土を持つブラジルは、多種多様な産物の大供給地です。 その一つに鉄鉱石がありますが、鉱山は内陸部にあり、港までは鉄道で運搬されています。
マイルトレイン

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その輸送はこの写真にあるように、輸送効率を上げるために貨車を数キロにおよぶ長さに連結して延々と山地から港まで運んでいます。
ここに使われるレールは、世界で一番過酷な所で使われていることになります。 直線部は問題ないのですが、山地の曲線部の磨耗は想像を絶するひどさです。 世界中のレールメーカーが夫々の考え方で耐磨耗レールの開発をしており、その実地試験の一つがここブラジルで行われていました。
山元から、港まで3箇所の曲線部に各社の製品が左右1本づつ敷設され、磨耗コンクールが行われるわけです。同一曲げRに入っているので、優劣は極めて明瞭にわかります。
通常鋼材の磨耗は、硬さが硬いほど少なくなります。 したがって世界中のメーカーは硬いレールを得る為に、焼入れ焼戻し熱処理を主体に微量成分の添加や熱処理条件などについて研究開発中でした。
これに対して、新日鐵の研究者は、磨耗が滑りと転がりに基因して起きているので、単なる滑り磨耗対策としての高硬度材追及は間違いである事を発見し、その新理論に基づく試験レールをつくり、ここに敷設試験をする事にしました。  その結果を調査する目的で日本の反対側まで出かけました。

 

ブラジルのフラグキャリアーはVARIGです。

外国には、その国のフラグキャリアーを使う事にしていたのでVARIGを使いました。

後で知ったのですが、VARIGとシンガポールエアーの2社の機内サービスは1,2を争うそうで、素晴らしく大変満足しました。

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コパカバーナの海岸線

ホテルからのコパカバーナの眺望です。

早朝なので人出は余りありません。

 

郊外をドライブした時見かけたパイナップルの山です。

買うと、山賊刀のような長いナイフで手早く皮を剥いてくれます。

暖かいのと、実が若いので味はもう一つでした。

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Vitoriaにある鉄道会社の本社から、試験レール敷設の現地までは、このバスを改造した車で走ります。

3ヶ所ある敷設区間の内、日帰りが出きる1箇所だけ見ることにしました。

調査の結果は、極めて満足できるものでした。 鉄道の曲線部にはレールが磨耗して削げ落ちた鉄片があちこちに落ちていて、すごいものになるとフェンシングの剣ほどの長さのものもありました。 が、当社の試験レールはびくともせず、磨耗も少なく削げ落ちた鉄片も無く、私の長い経験でこれほどの差の出た実用試験は始めてでした。 他社のレールは磨耗により、取替えの時期が来ていましたが、当社のものはそのまま第2ラウンドに入る事になりました。
その後、このレールはアメリカ、カナダの鉱山鉄道でも試験敷設され、評価を高め新日鐵のスーパーレールの名前は世界の耐磨耗レールのトップの地位を得る事になった。
ブラジルには木が多そうに思いますが、実は枕木になるような良質の木は少なくて、このような鉄製の枕木が使われていました。

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その後、この鉄枕木に興味を持ち、圧延での試作、製鉄所構内での試験敷設など、用途開発を進めたがコンクリート枕木との競争に勝てず、日本では実用化できなかった。