棒 鋼

鉄筋の接合 不良ガス圧接 鉄筋棒鋼製造技術

鉄筋の接合

鉄筋(コンクリート用棒鋼)は鉄鋼製品ではもっとも身近に使われている製品です。 1995年1月17日の阪神大震災では建築物、土木構造物に甚大な被害が発生しました。 不穏当な言い方ですが、世上例を見ない壮大な実物破壊試験が図らずも行われたわけです。
高速道路の鉄筋コンクリートの橋脚が635mにわたって倒壊している事をテレビで見た時、背筋の凍る思いがしました。歩いて小一時間のところでしたから、早速現場に勉強に行きました。

よく見ると、橋脚の鉄筋が圧接部(接合部)ですべて破断していました。本来破断は本体部分で切れるようになっているもので、圧接部での破断はあってはならないものと思っていました。原因はいずれ関係者によって明らかにされるべきものと思いますが、今回の話題はこの鉄筋の接合に付いてです。
鉄筋の接合は、鉄筋を重ねて番線(細い鉄線)を巻いて縛りコンクリートで固める方法、ガス圧接法、機械式継ぎ手などがあります。
この中で強度を求められる構造物に使用されるのはガス圧接と機械式です。ガス圧接は、継ぎ合わせる鉄筋の両端をガスで加熱し、押しつけて接合する方法で、工事現場で施工しています。機械式は色んなやり方がありますが、共通していることは、工場でネジ部を加工(製造)すること、接合をネジで締め込むと言うことです。

やや不正確ですが、国内で年間8000万個所が、強度を要する接合個所で、その内約90%はガス圧接で接合されています。機械式はガス圧接に比べコストの点から比率が低いのですが、年々1%程度増えています。
ガス圧接は、施工者の技能検定で品質の確保を行い、機械式は建築センターの評定をもって品質確保を行っています。 労働人口の高齢化、技能労働者の確保、施工品質の高位安定等を考慮すると、技能の不要な機械式が今後も増えて行くでしょう。
私の会社も3年前から左にあるような、機械式の継ぎ手(G-Joint)の製造販売を始めました。ネジには特殊鋼を使い、鉄筋との接合には自動車部品にも多量に使われている摩擦圧接を採用し品質の高位安定、ひいては構築物の安全性を支えています。

 


下に掲載した写真は阪神大震災により中間階で座屈した西宮のビルの建替え工事の写真です。一つのビルで6万個所ほど当社の継ぎ手が使われます。

東南アジアでは、コンクリートの材質が安定しないので、鉄筋で安全性を保つために、高強度鉄筋の使用比率が高く、ガス圧接は殆ど使われていません。(ガス圧接は天候に左右されること、技能工の確保が困難な事もありましょう)最近機械式継ぎ手に対する関心が深まり、日本からの技術導入が進みつつあります。

不良ガス圧接

9/11 付け 毎日新聞から 抜粋
財団法人・日本建築総合試験所が、阪神大震災で全半壊した建造物の鉄筋とコンクリートの強度試験を約1年がかりで実施した結果、鉄筋は5割以上が、もっとも強いはずの圧接部から破断し、コンクリートは約2割が設計強度を大幅に下回っていたことが分かった。
鉄筋を高圧、高温で接合(ガス圧接)した圧接部は JIS 通りの施工なら最強の部位となるはずで、少なくとも震災以前に施工不良が蔓延していたことを裏付ける結果となった。
第三者の公的機関が、こうした不特定多数の被災建造物の不良資材の実態を把握したのは始めて。
試験した鉄筋は137本。採取地域は神戸市内を中心に、芦屋、尼崎、西宮、大阪市など10市。 建築構造物は3階建て延べ面積500平方メートル以上の建物を対象とした。
鉄筋は引っ張り試験の結果圧接部からの破断が 51.8 % と過半数を超え、道路橋脚などの土木構造物で特に多かった。
この結果について、 高橋同試験所材料検査部長は「施工不良といえる構造物が数多く存在したことを証明するデータといえる。 品質管理と工事管理の在り方を向上させる必要がある。」と指摘している。
この記事をフォローした別の業界紙に、同試験所の話として、「工事現場から持ち込まれる試験体での圧接不良は0コンマ台の不良率であるのに、実態が半数以上の不良率になるのでは、何のために試験をしているのか、むなしくなる。」 とありました。
この問題は古くて新しい問題です。 日本は地震国です、備えは充分にしましょう。