鐵鋼製造について  1997/12/23
第7話 板の圧延
鋳造された綱片を圧延機で圧延して用途に応じた形状に作り上げた製品を鋼材と言います。 鋼材を造るもっとも一般的な方法は、上下のロールに挟んでおしのばす圧延です。 圧延には、綱片を高温に加熱しておしのばす熱間圧延と、そこで出来たものを常温で更にのばす冷間圧延とがあり、作られる製品は多種多様です。

鋼材の60%強は鋼板です。鋼板は、船、橋梁などに使われる厚板と、自動車、家電製品、缶、トタン板などに使われる薄板に大別されます。通常は厚み3mmを境に厚板、薄板に区別しています。

鋼板に使われる素材は、大きな畳のような形のスラブ(綱片)と言われるものです。 厚板の場合は加熱炉で1000℃以上に熱したスラブを粗圧延機にかけ、何回か往復して一定の厚みまで薄くしてから、次に仕上げ圧延機に送りここでも何度も往復させて目的の厚みに仕上げて行きます。 これは厚板の注文寸法(幅、長さ、厚み)がそれぞれ違うために、いわば手作りで作っているからです。

これに対して薄板は、複数の粗圧延機と仕上げ圧延機を一直線上に並べ、素材を一方向に一回だけ走らせて、厚さ200mmから250mmのスラブを2〜3mmに延ばします。 長い板の帯は、最後に巨大なトイレットペーパーのようなコイルに巻き取られます。 この設備が熱間圧延機、いわゆるホットストリップミルです。
 
熱間圧延だけで仕上げる厚板に比べ、薄板は熱間圧延に引き続き冷間圧延を行う場合が殆どです。 冷間圧延は板厚をさらに薄くするだけでなく、表面を美しく、かつ均一にすることが出来るので、自動車のボディ用や家電用などの鋼板はほとんどが冷間圧延で造られる冷延鋼板です。冷間圧延機は、ホットストリップミルと同様、直線上に配置した5〜6台の圧延機を通して必要な厚みまで厚さを少なくします。

板圧延技術のポイントは板の厚みの制御です。ロールと言えども圧延中に撓みます。 この撓みにより板の厚みは中央部が厚くなります。これを避けるために色んな工夫がなされています。例えば材料に当たるロールをその外側からもっと強い(太い)ロールで押し付けて撓みを少なくするとか、押し付けるロールの位置を変えるとか、押し付けるロールの本数をもっと増やすとかしています。

もう一つ圧延に関して重要な技術は燒鈍です。 圧延された鋼板は、受けた圧下力による歪みが内部に蓄積されて、硬化しています。 この力を解放して、加工しやすい軟らかさを取り戻すのが燒鈍で、具体的には鋼板を加熱、冷却する操作です。 薄板の場合、かってはコイルのまま炉に入れて、およそ1週間掛けて燒鈍していたものを、今ではわずか10数分で処理できる連続燒鈍が一般的になっています。

また鉄は簡単に錆びます。 特に薄くなると錆びは穴明きにつながりますので防錆が重要です。メッキとかコーティングを行い、錆の防止に留意しています。

鋼材の60%強が鋼板だと言いましたが、日常我々が家庭内で目にする鉄製品は殆どが鋼板から作られたものです。これらには材料として同じ物は殆どないと言えるくらい用途に応じた材料の最適化が行われています。