鐵鋼製造について  1997/1/15
第8 条鋼の圧延
条鋼とはレール、H形鋼、棒鋼のように外観形状が平らでない圧延鋼材を総称しています。 条鋼もロールの間を通す事で圧延で作られますが、板圧延との決定的な違いは、材料に対してロールの当て方を変えなければならない事です。即ち、板圧延では板のエッジはロールに当たりません。ロールに当たらないとその面は、ざらざらになりますが使用時に切り取って使います。 これに対し条鋼は圧延材の上下左右すべての面にロールを当てて面を平滑にします。従って外観形状が平らでないものと言いましたが、平らであっても左右の面を切り取らずに、そのまま使えるように圧延する平鋼は条鋼に分類されています。

ロールには板と違って、圧延する形に合わせた溝を掘りその溝の中に材料を誘導して圧延します。 一挙に最終の形には出来ませんから溝の形を少しづつ変えたロールを沢山用意して圧延しなければなりません。ロールはおおざっぱに言って1組100万円単位ですから、一つのサイズを圧延するために必要なロール費用は億の単位に近くなります。従って圧延する形を集約して生産する必要があり、日本工業規格(JIS)を見ても形、寸法が決められています。

上下左右にロールを当てて圧延するには、ロールを上下左右に配置して材料を真っ直ぐに通すか、板圧延のようにロールを上下に配置して材料をロールスタンド間で回転させて(90°捻じって)通すかいずれかの方法が必要です。通常1本のロールには複数の溝を掘ります。ロールを収めた入れ物をスタンド(圧延機)と言いますが、1本のロールを溝を変えて材料が行ったり帰ったり何回も通る圧延方式から、スタンドを沢山ならべて材料はスタンドを1回しか通らない圧延方式まで圧延の形式は種々雑多です。スタンドもロールを水平にセットするもの、垂直にセットするものがあります。これらを組み合わせて圧延設備が成り立っています。

それぞれの圧延方式には特徴があり、特長を生かした使い方が出来れば良いのですが、特長を生かすだけでは設備が遊ぶので、稼働率(生産量)を上げたいと、その設備で可能なものを何でも作るようになります。 われわれ技術屋はそれに対応して、ない袖を振りながら打ち出の小槌を振って来ました。

条鋼製品はコイル状に巻き取るもの(線材、バーインコイル)もありますが、大半のものは真っ直ぐな形で供給されます。これらは圧延後延ばされた状態で冷やしてから真っ直ぐに矯正する事と切断が必要です。この矯正もそれぞれの形と大きさに合わせたロールを準備しなければなりません。従って条鋼圧延の工場は圧延機列よりもその後ろに付いている冷却床、切断機、矯正機、等々の精整設備のほうが面積を多く取るようになります。

条鋼の圧延は圧延技術から見ると、圧延によって断面の形とサイズを変えることにポイントがあります。ロールの穴形(溝を掘ったロールを合わせるとあたかもそこに穴が空いているように見える所からこう呼びます)で材料を圧延すると、長さ方向に延ばされると同時に横方向に膨らみます。 この横方向の膨らみを上手に活用して造形を行うのが条鋼圧延で、横方向の膨らみを出さないで長さだけに出るようにするのが板の圧延と言うことも出来ます。

横にどのくらい膨らむかは、昔は計算では出なかったので、穴形の設計者にはそれぞれ神様と言われる人が居て判断した物でした。そんな事もあって条鋼製品は形と寸法が決められており、自由なサイズでは殆ど作られていません。