偏光(PL)フィルターの効用  
風景写真等に偏光フィルターを使うと次のような効果がある。
 
1) 照葉樹の反射光による白飛びが抑えられ、葉のディテールを撮すことが出来る。
 
コンパクトデジカメ IXY900IS のレンズ前面にPLフィルターを手持ちで添えて撮ったもの 。 右の写真は露出補正のため白飛びはしていないが、この明部が影響して明暗の階調がずれて、中間の明るさの階調がつぶれている。露出補正しなければ明部は白飛びし、階調の乱れももっと酷くなっていただろう。
 ISO:200  F:5.8 露出1/500sec PLフィルター使用 露出補正EV-0.7 反射光が抑えられ新緑が鮮やか  ISO:200  F:14.0  露出1/200sec  露出補正-0.7 露出補正のために白飛びはないが、この白さのために、中間色の階調が損なわれている
2) 光の反射で白っぽく見えるビルの壁面が本来の色に見えるようになる
NIKON D70 標準レンズ広角端(18mm) 小田急町田駅ビルの外壁。煉瓦表面からの反射光が偏光フィルタによって抑えられ、本来の色に見える。
ISO800 F18 露出1/200 露出補正-0.7 ISO800 F22 露出1/200 露出補正-0.7
3) 大気中の微粒子による光の乱反射を抑えるので青空のコントラストを高めたり、遠景をシャープに撮すことが出来る。

NIKON D70 望遠レンズ(35mm換算450mm)町田街道から丹沢山塊を撮したもの。太陽との位置関係は横向きなので空の青さは 僅かしか強調されないが、大気中の微粒子による散乱が抑えられ、山肌のディテールは改善している。

 ISO:200 F:5.6 露出1/1000sec 露出補正-0.7  ISO:200 F:9.0 露出1/1000sec 露出補正-0.7
4) 水面からの反射を抑えることが出来る。
コンパクトデジカメ IXY900IS のレンズ前面にPLフィルターを手持ちで添えて撮ったもの。露出補正を掛けてないため、花弁は白飛びをしている。
 ISO:200 F:4.0 露出1/100sec 露出補正無し  ISO:200 F:4.0 露出1/200sec 露出補正無し
5) ガラス面による映り込みを抑えることが出来る
 
コンパクトデジカメ IXY900IS のレンズ前面にPLフィルターを手持ちで添えて撮ったもの。  金属表面からの反射には偏光フィルターは効かないと言われているが、ボンネットの反射は抑えられている。
ISO:200 F:5.8 露出1/250 露出補正EV-0.7 ISO:200 F:5.8 露出1/640 露出補正EV-0.7

NIKON D70 標準レンズ望遠端(70mm) 道路沿いのウインドーを撮影。右の偏光フィルタ無しではガラスへの映り込みがあるが、偏光フィルタによって抑えられている。
  ISO 800 F4.5 露出1/200 露出補正-0.7   ISO 800 F6.3 露出1/200 露出補正-0.7 

偏光フィルター使用に当たっての注意事項
1) 市販されているPLフィルターは28mm径が最小径。(私の調べた範囲では) 最近のコンパクトデジカメには レンズ前面に取付用のネジが切ってない物が多く、取り付けられる物は少ない。
従って手持ちでレンズ前面に当てる方法しかない。
2) 撮影時にPLフィルターの回転角を最適位置に調整する必要がある。
手持ちの場合には予めPLフィルタのみで最適位置を見つけてそのままレンズに当てる。
3) フィルターによる露出時の光量減少を補ってやる必要がある。(絞りを開けるか、シャッター速度を落とす必要がある)カメラが自動的に調整するが、スローシャッターになって思わぬ手ぶれになることがある。 (私の経験では露出補正係数4程度)
上記IXY900ISの例では、設定はマニュアルだが露光はカメラ任せである。
4) 偏光フィルターは逆光方向では効果が限定される。(空の色に対しては無力)
5) 偏光フィルタには2種類あり、デジカメには円偏光タイプがよい。
6) 円偏光タイプはレンズ側と対象物側があり、手持ちでレンズ前面に当てるときに逆にすると、効果が出ない。