TAMRON 11〜18mm 超広角レンズ

(2011/6/16)

半世紀以上前 NIKON−SP に 50mm F1.4、35mm F3.5、105mm F2.5 の3本のレンズを持っていたが、望遠レンズの出番はほとんど無かった。かさばらず使いやすさから35mmレンズの出番は多かったと思う。 

一眼デジカメを購入時標準で付いていたレンズは、18〜70mm(35mm換算27〜105mm)ズームだったのでこれで満足していたが、町田市名木百選の木を撮り始めて、高い木の花を撮るには望遠が必要で 70〜300mm(35mm換算105〜450mm)を追加した。 さらにツゲのような小さな花を撮るためにマクロレンズを、高木の花のために500mm(35mm換算750mm)レンズを入手し使っている。

マクロレンズでの接写で満足はしているのだが、接近するとバックがあまりにもボケテしまうので、もう少しバックを出した写真にしたいと 、また常識外と言われる超広角の味を知りたく、11mm〜18mmの超広角レンズを手に入れてみた。

樽型歪曲の例

障子からレンズ先端まで約30cm
色収差の例

はっきり現れるようにアンダーで撮したもの。切り出したまま。

最短撮影距離は25cm、標準レンズは最短撮影距離が35cmなので、広角端の比較では超広角の方が広く・大きく撮せ、焦点深度も深い。 レンズ構成は12群15枚だがレンズ径が小さいため全重量は345grと軽量である。 樽型歪曲と色収差が報告されているが樽型歪曲は水平に構えることで軽減出来、色収差もさほど気にならない。
広角のイメージを体験するための試写(何れもトリム無しリサイズ、シャッター優先設定)
焦点:11mm ISO200
F4.5  1/640 EV-0.7
焦点:11mm ISO200
F4.5 1/1000 EV-0.7
焦点:12mm ISO200
F9.0  1/250 EV-0.7
焦点:12mm ISO200
F4.8  1/1250 EV-0.7
焦点:11mm ISO200
F8.0 1/400 EV-0.7
感想
1) 遠近感を出すには一歩踏み込んで被写体を大きく入れて撮影するのがコツと思う。 何しろレンズ前端7cmまでピントが合うのだから思い切りが必要。 上の左2枚はもう1歩が足りなかった。
2) バックのボケ具合を見るために、シャッター 優先設定で撮ってみたが開放絞りでも結構バックの存在感があり、撮るときにバックの構図を考える必要がある。
3) 風景を撮ると主題が散漫となることの対応策が未だ分からない。また広範囲を撮る事になるので白トビし易く、露出補正を大きく掛けなければならない。 この場合現像時に中間明度補正を大きく掛ける事になるが、ノイズが目立ち平板な写真になってしまう。この対応策は今後の課題である。
4) このレンズは樽型歪曲や倍率色収差が感じられるが、これを持ち味として使うしか無い。

近日中に偏光フィルタも手に入るので、陽の差す状況で試写を重ねて自分なりの撮影スタイルを作りたい。

超広角レンズの変わった使い方の練習 (何れもトリム無しリサイズ、シャッター優先設定)
焦点:11mm ISO800
F4.5  1/5000 EV-0.7
焦点:11mm ISO200
F4.5 1/1600 EV-0.7
焦点:18mm ISO400
F6.3 1/125 EV-0.7
焦点:11mm ISO400
F9 1/320 EV-0.7
焦点:11mm ISO400
F14 1/100 EV-0.7
左端の写真  仰角を付けて撮せば左右のものは斜めに写る。町田駅前の名木百選のケヤキ。
左から2枚目  相原の諏訪神社のケヤキ、鳥居がアクセントになった。
左から3枚目  このような大きな花はマクロでは入りきらず、標準ズームではここまで近づけない。焦点深度も有利。
左から4枚目   花が大きくても接近し、絞れればくっきりと写せる。白トビ防止のためアンダーに撮り現像で補正した。
左から5枚目  手前の菖蒲をアクセントにした全体感。焦点深度を深めるためスローシャッタにした。

焦点深度を利用した比較的大きい被写体のクローズアップ (2011/6/21)
焦点:11mm ISO400
F5.6  1/320 EV-0.7
焦点:11mm ISO400
F11 1/500 EV-0.7
焦点:11mm ISO400
F7.1 1/500 EV-0.7
焦点:11mm ISO400
F8 1/500 EV-0.7
焦点:11mm ISO400
F14 1/200 EV-0.7
梅雨の晴れ間を狙って、薬師池公園のアジサイを撮ってみた。何れも可能な限り近づけて撮ったもの。期待通りの写真が撮れたと思っている。

超広角の特性を生かしたワイド画像の問題点 (2011/6/23)
建物内部とか風景を超広角で撮ると、どうしても明るい部分が入り、そこが全体の明るさを抑えてしまい中間の明るさの部分が暗い部分に押し込まれディテールが損なわれる。この対応策に苦慮している。
例えば東京駅丸の内から見た東京海上ビルと丸ビル。空を白トビさせずに撮ったものから現像のステップを示す

今にも降り出しそうな空と、高さ制限を始めて破った東京海上ビルをその後改築された丸ビルとの対比で撮りたいと思った。 
EV-0.7の影響か暗い方に偏った写真になった。

ヒストグラムの明るい方を白トビ寸前まで明るくした。ヒストグラムの山2つの内明るい方は空の部分であり左の部分は建物部分である。
建物部分の画像データが狭い範囲に押し込まれておりディテールが損なわれている。 EV-0.7がミスだったと思う。

中間調のコントローラを左に寄せて建物のディテールを出し、空の暗さを保つためにトーンカーブの明るい方をやや抑えた。
次いで、東京海上ビルに対してカラーコントロールを行い、明るさとコントラストを強めた。 
最後にノイズを弱めてJPEG変換した物がこの写真である。

変換後のヒストグラムも示しておく が、最初からこのようなヒストグラムが出るような写し方を探したいもの。

折角CCDが持っている明るさ能力256階調の2/3程度しか活用していない事が問題であり、露出設定を手動で行えば良かったように思う。 シャッター速度を変えたが絞りが変わっただけで、画像はほぼ同じだった。 

この写真の撮影情報は次の通り
絞り値: F/22、 シャッター:1/200、 露出モード:シャッター優先オート、 露出補正:-0.7、 測光モード:中央部重点測光、 ISO感度:ISO400

周辺光量の低下 (2011/9/8)
超広角を使うと周辺光量が低下する。NIKONの現像ソフトにはこの周辺光量低下を補う操作があるのでこの実態を調査した。CaptureNXのヘルプを見ると、NIKONの距離情報出力機能付きレンズを使えば、その情報を使って最適な調整を行うとある。私のレンズはTAMRONなので、この機能は使えないが、手動で周辺部光量を調整出来るとある。そこで周辺光量についてテストしてみた。
 

撮影条件:  CPLフィルタ使用、ISO 400、焦点距離 12mm、露出モード シャッター優先
シャッタースピード 1/1000、絞り値 F/7.1、露出補正 0、 測光モード スポット測光。 

RAWで撮影した画像を幅1000ピクセルに縮小し、そのままJPGにした物である。

RAW写真の左上部を切り出したままJPEG変換し、その部分のヒストグラムを見たもの
同じ写真をCaptureNXで周辺光量を最大限に明るくし、上記部部と同じ部分を切り出しJPEG変換し、ヒストグラムを見たもの。

若干ではあるが周辺が明るくなっている。でも通常では殆ど気がつかない。


対象物への距離が影響するらしいので、障子に向けてレンズ前面を約10Cmまで近づけて撮影した。

撮影条件:  CPLフィルタ使用、 ISO 400、 焦点距離 12mm、露出モード シャッター優先、シャッタースピード 1/400、絞り値 F4.8、露出補正 0,測光モード スポット測光。

RAWで撮影した画像を幅1000ピクセルに縮小し、そのままJPEGにしたもの。
確かに周辺光量減少が感じられる。
同じ写真をCaptureNXで周辺光量を手動調整範囲の1/2ほど明るくしたもの。
1/2ではあるが、周辺部の明るさが改善されており、ヒストグラムでは中央の山幅が狭くなっている。

常時使う現像処理では無いがおもしろい機能である。