適正露出(晴天の風景)  
超広角レンズを使用して、晴天時に風景を撮るには、明るさの分布に気をつける必要がある。 曇天と異なり画面上で最も明るい点は(順光撮影の場合)空では無く地上の白い部分である。 そこを白トビしないように設定することが肝要。その場合暗い部分を如何に処理するかがポイントとなる。  以下にいくつかの例を示す。

(共通設定 レンズ:11mm、シャッター優先オート、中央部8mm重点オート測光、偏光フィルタ着用)

単なるWideな風景 
オリジナル画像 ヒストグラム修正 撮影条件 修正後画像 コメント

絞り:F/9
シャッター:1/1600
露出補正:0
ISO:400
CPL不使用

超広角なので中央重点測光でほぼ充分な露出となる。
極端な明暗差が無いので露出補正は不要だった。空の色が濁ったのでCPLを外した(対策は後述)
人工構築物主体の場合には、測光範囲内に最明部が入る確率が高く中間調部分に幅がある。従って最明部@を白トビ寸前まで明るくし、中間部Aを見栄え良くするだけで良い。 @はこれ以上明るくすると白トビが始まる。

影の部分を含む風景 (1)
オリジナル画像 ヒストグラム修正 撮影条件 修正後画像 コメント

絞り:F/4.5
シャッター:1/640
露出補正:0
ISO:400
測光範囲に空と神社が入り露出補正無しで良好なヒストグラムが得られた。 但し最明部は右下の土俵なので場合によっては露出補正を-0.3程度必要かも。
右下部の最明部は白トビ始めているので、明部@調整は行えない。神社を少し明るくするために中間調Aをずらし、その結果空が白っぽくなるのでオリジナルに近づけた。B  ヒストグラムで、空(A)と神社や木々(B)が二山になっており、暗い部分にピークがある。暗い部分を明るくしようとすると幅の狭い部分を広げることになりノイズの増加と平板な写真になる。 その例を下に示す。

絞り:F/4.5
シャッター:1/1000
露出補正:-0.7
ISO:400
最明部を少し扱ったほかは、上と同じ考えで修正したが中間調の調整は25%まで移動したので神社のディテールが平板になった。リサイズ前にはノイズも多い。

影の部分を含む風景(2)
オリジナル画像 ヒストグラム修正 撮影条件 修正後画像 コメント

絞り:F/4.5
シャッター:1/1000
露出補正:0
ISO:400
オリジナル画像は既に白トビが始まっており最明部@は扱えない。中間調Aを25%まで移動し、空の明るさを元に戻したB。その結果本来の菖蒲の部分は平板になってしまった。
オリジナル画像のヒストグラムに見るように、画像データは暗い方に偏っている。256階調を等分に分けるとこのようにしかならない。 露出を増やすと雲が白トビする。暗部のデータ幅は増えるので中間調の補正は少なくてすむ。その例を下に示す。
絞り:F/5.6
シャッター:1/500
露出補正:0
ISO:400
雲は白トビしているがこの程度まで許容したとして暗部のピーク幅はやや拡がったので、中間調の修正は少なくてすんだ。
超広角レンズはこのような写し方には不向きである。谷間の菖蒲を狙ったのだからもう少し長い焦点レンズで写すべきだろう。 いまさらながら撮影後のヒストグラムデータのデータ幅を見極めることが重要と認識した。

偏光フィルタの効果
オリジナル画像 撮影条件 部分切り出し コメント
絞り:F/5.6
シャッター:1/1000
露出補正:0
ISO:400
偏光フィルタ無し
絞り:F/4.5
シャッター:1/1000
露出補正:0
ISO:400
偏光フィルタ使用
超広角レンズでの偏光フィルタ調整は困難である、何しろファインダー内の画像が広範囲=小さいので近くの反射光を見つけて調整するしか無い。 上の2例はほぼ同じように見えるが拡大してみると照葉樹の葉からの反射光を抑えており、その結果として木々の葉のデータ幅が増え緑が出てきた。リサイズした画像でも柔らかさがある。
超広角レンズの口径は77mmと大きいので偏光フィルタに安価な輸入物を購入した。ところが青空を写したとき何となく濁る感じがする。上記写真もそのように感じる。 そこで国産の偏光フィルタと比較し、ヒストグラムで青を僅か修正することで同等になることを見つけた。(このページの写真は修正していない)