高性能コンパクトデジカメの撮影条件テスト(最適露光を求めて)

2013/1/14

現在一眼レフとコンデジを使い、WEB記載の写真は殆ど一眼レフのもので、コンデジはメモ代わりに使っていた。このたび東南アジアに行くことになり、高機能コンデジが欲しくなり、検討の結果CANON PowerShot S100 を購入した。

このカメラのAUTOはISO感度を初めとして全ての撮影条件をカメラ任せにしなければならず、露出補正も使えないのでプログラムモードで撮影することになる。
プログラムモードにも露出を自動で設定するプログラムAEモード、の他にシャッター優先モード、絞り優先モード、マニュアル設定の4方法がある。これ らについてのアルゴリズムが分からないのでテスト撮影で確かめる必要が生じた。

プログラムAEモードはISOと露出補正のみ設定し後はカメラ任せである。 他の3方法はISO・露出補正に加えてシャッター速度と絞りを設定することが出来る。露光量の調整範囲としてはシャッター速度の方が広いので私はこちらを主に使っている。

最適露光は白飛びをしない露出条件を求めることと思っている。白飛びが発生すると、全体の色バランスを崩すしメリハリの無い画像になってしまう。

露光量の設定にはスポット測光、中央重点測光、評価測光があるが、白飛び部分を少なくする目的から評価測光を採用した。

撮影データは現像の手間は掛かるが、手を加えても画質劣化の無いRAWとしたが、慣れているNIKONのものと操作法が違い戸惑うことが多いが慣れるしか無いだろう。

S100の状況把握のためのテスト撮影

GPSテストも兼ねて近所を歩きながら撮影したものから白飛びの状況をチェックした。いずれも露出補正-0.7である。

設定方法 シャッター優先 プログラムAE
ISO 400 400 400
絞り F5.6 F7.1 F4.5
シャッター 1/500 1/1250 1/1250
 

コメント

周囲(特に左側)が暗いためか明部は白飛びしている。中央重点測光なら防げただろうが・・・   近々PLフィルターが入れば再テストしたい。 同位置から6秒の間隔で撮したものだが、右の写真は絞りが変わったために、空が白飛びしている。近くに位置していた車両が無くなり露光量を増やしたのだろう。

その後テストを重ねたが、プログラムAEモードでISO感度を400以上に上げたものは、白飛びの頻度が上がり実用にならなかった。絞りはまだ余裕があるのに絞り切れていない状況である。

プログラムAE (暗い状況下)

積雪の屋外夜間をプログラムAEでISOを変えて絞りとシャッター速度の変化を調べた。(露出補正-0.7、RAW撮影)

ISO 100 200 400 800 1600 3200 6400
絞り F2.0 F2.0 F2.0 F2.0 F2.0 F2.0 F2.0
シャッター 1 sec 1 sec 0.8 sec 0.4 sec 0.2 sec 0.1 sec 1/20 sec
コメント

暗い状況なのでISO感度を6400まで変えても、絞りはF2.0 (開放)のままでシャッターのみが変化した。露光量はISO400から高感度側は一定なので。ISO100と200はカメラの判断としては露出不足となっている。  特筆すべきは、ISO6400でもノイズが少ないこと、ISO100のものでも門灯と右端の街灯は白飛びしている。  コメント欄の下はISO100 のものを現像時明るくしたもの。(私ならWEBにこれを使う)

省略

省略

省略

プログラムAE(明るい状況下T)

積雪の昼間をプログラムAEでISOを変えて絞りとシャッター速度の変化を調べた。(露出補正-0.7、RAW撮影)

ISO 100 200 400 800 1600 3200 6400
絞り F4.5 F6.3 F8.0 F8.0 F8.0 F8.0 F8.0
シャッター 1/1250 sec 1/1250 sec 1/2000 sec 1/2000 sec 1/2000 sec 1/2000 sec 1/2000 sec
コメント

明るい状況なのでISO100でも相当な高速シャッターになっている。このカメラのシャッター速度上限は1/2000secなので、ISO400以上の高感度では白飛びしている。 ISO100と200では絞りのみが変わっておりシャッター速度は同一である。絞りを優先に 変えて調整しているのだろうか。
コメント欄の下はISO100のものを現像時明るくしたもの。(私ならWEBにこれを使う)

省略

プログラムAE(明るい状況下U)

上述の状況ではプログラムAEの露出設定に関するアルゴリズムが今一分からないので、ISOを変えて絞りとシャッター速度の変化を再度テストした。(露出補正-0.7、RAW撮影)  併せてGPSの標高表示のばらつきも調べた。

ISO 100 200 400 800 1600 3200 6400
絞り F4.0 F5.0 F7.1 F8.0 F8.0 F8.0 F8.0
シャッター 1/1000 sec 1/1250 sec 1/1250 sec 1/2000 sec 1/2000 sec 1/2000 sec 1/2000 sec
コメント

ISO感度400が上限でありそれ以上では白飛びが発生する。光量の少ないところでは絞りもシャッターも変更される。GPSの位置情報のばらつきは非常に小さいが標高はバラツキ幅が15mもあることが判明した。

GPS標高 73.82m 80.34m 83.53m 84.05m 88.35m 86.53m  

 

省略

プログラムAE(日陰)

ISO 100 200 400 800 1600 3200 6400
絞り F4.0 F4.0 F4.0 F4.0 F4.0 F4.0 F4.0
シャッター 1/10 sec 1/25 sec 1/40 sec 1/80 sec 1/160 sec 1/320 sec 1/640 sec
コメント

ガードの下。ISO感度を変えても絞りは変わらずシャッター速度だけが速くなった。上述の明るい状況下とは異なる設定法だ。 絞りはF2.0まで使えるのだから絞りを開けてシャッター速度を速めるべきだと思うのだが。 ホワイトバランスは「AUTO」だが、色温度を下げた方が実態に近いと思う。
なお売店の蛍光灯及び奥の階段の手すりはどの条件でも白飛びしている。 コメント欄下の写真は色温度と明るさを現像時に調整したもの。(私ならWEBにこれを使う )

GPS機能 (バッテリの消耗は早くなるのだがおもしろい機能が付いている)
 
このカメラにはGPS機能が付いている。この機能を設定して歩きながら写真を撮り地図上に表示することが出来る。(同時に海抜高度も測定している)
この地図ソフトには全世界の地図があるので、なじみのない場所でも位置情報は撮れるはずで旅行を楽しみにしている。

偏光フィルター効果

一眼レフの全てのレンズには偏光フィルターを付けているが、コンデジにはフィルター取り付け用のネジが無いので、手持ちでセットし調整するしか無いが、反射光を抑える効果はあるので状況に応じ使うことにしたい。 輸入品の安価なものを購入したのでテストした。 アンコールワットの石像などで反射がひどければ役に立つのでは無かろうか。
 
偏光フィルター無し 偏光フィルターあり 偏光フィルター無し 偏光フィルターあり

水面の反射を抑える使い方

葉の表面反射を抑える使い方

ここまでの結論

プログラムAEは絞りとシャッター速度設定のアルゴリズムが今ひとつ分からない。従って実際にはシャッター優先モードを使い、露出補正と高速シャッターで露出を抑えた撮影をすることにしたい。従って絞りは開放側で使うことになるが、コンデジは焦点距離が短いので焦点深度が問題になることは無いだろう。

ISO100〜200でメモ的用途にはプログラムAEで、綺麗に撮りたければシャッター優先にして撮影直後の画面のチェックを念入りに行うしか無いのだが、白飛び表示が小さな画面で見にくいのが欠点だ。