クラシックカメラ

一昨年の胸線腫・昨年の腰痛とそれに続く食欲不振を経験し、終活についてやや真剣に考えるようになった。 その中の一つに自分にとっては重要な位置づけの物が、残された家族にとっては何ら興味の無いものを如何に整理するか がある。

そうした観点から長年興味を持って保管してきたカメラの整理を始めるに当たり、それらのカメラの来歴を調べた。 現在はネット情報が充実しているので 比較的簡単ではあった。折角調べたのでここに記録することとした。
 

Welta Perle
ウエルタ ペルレ

父が1939年に上海恒産に出向を命じられた時に購入した物で、上海・馬鞍山・広畑と使い1957年に没するまで使った写真機。 戦前・戦中・戦後の激動期にフィルムが購入でき、良く写真が撮れたと思うが、このWEBの自分史にもこれで撮った沢山の写真を記載している。 このウエルタ(ヴェルタ)と言うブランドは戦前に日本に輸入された数少ない舶来カメラとして、知られている。

カメラの仕様:
 製造 ドイツ Welta 社
 製造年:1939年 シャッターの製造番号(5921776)をcompor-rapid社サイトで調査
 フォーマット  120フィルム 6*4.5 セミ判
 レンズ Carl Zeiss Jena Tessar 7.5cm F2.8  テッサー 前玉回転式
 シャッター コンパーラピッド T B 1〜400 セルフタイマー付き
  絞り 2.8 4 5.6 8 11 16 22 で最小絞り22である 
 赤窓式 パララックス補正付き逆ガリレオ式ファインダー

Welta Perle でネット検索すると、折りたたみ式のファインダー、シャッタースピード上限250、絞り上限16、レンズ製造社名違いなどがいろいろ見つかる。 仕様などから見てこのカメラはPerle の終わりに近い機種なのだろう。


レンズ Carl Zeiss Jena Tessar f=7.5cm  1:F2.8  レンズ製造番号が 2216285 であることが分かる。

なお、、シャッター速度上限が 400 であることが分かるが、これらはこのカメラが相当後期の物であることを示している。 絞りの羽数は10枚で真円に近く、少し絞ってレンズの基本性能を引き出した時のボケが非常にきれいになるよう考えている。

ピントはレンズを手動で回わして設定せねばならない。この状態は最短距離 3feet にしたもので、あと少し回すことは出来るが・・・。 レンズは一杯に押し込まれた状態(∞位置)にしないと蛇腹が閉まらない。
シャッターメーカ名が COMPOR-RAPID 、絞りの上限が 22 である。これもこのカメラが相当後期の物であることを示している。
シャッター速度 1/400 は当時としては驚きの速さ。
シャッター設定はシャッターレバーを青の矢印の方向に動かして設定する。セルフタイマーは黄色のボタンで行う。
通常のシャッター設定の状態でシャッターレバーをこの位置まで動かしセットして、シャッターボタンを押せばシャッターが落ちる。 セルフタイマーを使うときは黄色のボタンを矢印方向に押しながら、シャッターレバーを青矢印まで動かして設定すれば約10secのセルフタイマーが働いた。 
カメラ裏面に窓が2つあるがこの間隔は4.5cmで、当時のフィルムには9cm間隔のマークしか無かったので、4.5cmの送り量にするための工夫である。窓は赤色になっているが露光を防ぐために中央のボタン操作で閉めることが出来るようになっている。  最初のテスト撮影でマークを見落としフィルムを1本オシャカにした。
レンズを収納した状態。 上部に付いているファインダーは驚くことにパララックス補正付きである。ファインダー視野の精度がさほど良くないにもかかわらず・・・。
ブローニフィルムを購入したので試写してここに記載する。 (購入費680 現像費678)
フィルムの巻き上げは自動コマ送りでは無いので、ちょっと注意をそらすと進んでしまう。シャッター・絞り・距離の3項目を設定するのは最近の全自動カメラに慣れているので楽では無い。
  75年ほど前の機種だが予想に反してしっかり写っていた。

 

Contax Ua

私が大学入学したとき(1953年)父からもらった物。 これを持って写真研に入り大学生活4年間を謳歌した。 NIKONの35mmレンズが使えると知ったのでf3.5を購入し常用していた。

アクセサリシューにStuttgart(製造工場)と記入されていることと、距離計基線長が74mm、シャッター速度の 上限が1/1250秒である事から機種が1953年発売の型番と推定した。

カメラの仕様  

製造:

ドレスデンのコンタックス製造ラインをソ連軍に接収されたツアイス・イコン社が、西側のシュツットガルト市で生産を始めた復興モデル。 

測距:

二重像合致式連動距離計 3feet〜無限遠

シャッター:

T B 1 2 5 10 25 50 100 250 500 1250

レンズ:

Carl Zeiss Sonnar 1:2 f=50mm  Nr 1256787 絞り 2〜22
Carl Zeiss Sonnar 1:2 f=50mm 製造番号:1256787

なんとネット上でレンズ製造番号 1256714 を見つけた。たった73番違いだ。 

シャッターボタンとシャッター速度ダイアル、巻き上げ、フィルムカウンターがひとつにまとめられている。シャッターはやや重い。
上方にはレンズピント調整リングが見える。
アクセサリーシューには製造工場(Stuttgart Germany)と製造番号(B93926)の刻印あり 。
フィルム巻き戻しツマミと装着フィルム表示。
カメラ上面 非常にシンプルだ
フォーカルプレーンシャッターは鎧戸式の縦走り金属シャッター機構で 1/1250sec の高速を得ている。
 
35mmフィルムを購入して試写を始めたら、3枚撮った所でシャッターが動かなくなった。その内の2枚である。その後シャッターの調子を見るのだが、動いたり動かなかったり不安定だ

 

NIKON SP

昭和33年就職後に購入した物。(おそらくS34春頃と思う) 初任給\10140円の若造がほぼ10万円のカメラを無謀にも購入してしまい2〜3年ほどの分割でせっせと残業して支払に苦労した記憶がある。
 
カメラの仕様  

製造:

日本光学工業製 製造番号:6214831 (製造番号帯 6200001〜6232150)

ファインダー:

標準・望遠用ファインダーは等倍で使いやすい。 広角用は0.34倍

シャッター:

横走りゴム引き布膜式フォーカルプレーンシャッター  (チタンが使われるのは後期から)
T B 1 2 4 8 15 30 60 125 250 500 1000

レンズ:

ニコンSマウント(バヨネット式) 一世を風靡した 50mm F:1.4  No.407048

NIKON SP の初期型は昭和32年9月に発売された。初期型を示す4つのポイントがあり、いずれも合致した。
1) 巻き上げレバーが華奢なプレス加工で指掛りが小さい。またフイルムコマ数計のカバーに細い3条の筋が入っている。
2) セルフ・タイマーが2ピースで、指掛り部分とそれ以外が分かれている。
タイマー設定は回す角度で時間を3〜10秒の間で決められる。面白いアイディアだ。
3) 裏蓋開閉キーの JAPAN の文字に墨入れがない。
4) カメラ底面のフィルム感度表示設定でモノクロ用が 50-400 まで、同じくカラー用が 10-32 までで、指標が1個の三角である。

 

標準レンズ 50mm 1:1.4装着状況
NIKON の刻印の上にあるギヤはピント合わせ用のもので、標準レンズの場合にはギヤに付いている周り止めを外す必要があるが、交換レンズの場合にはレンズの距離リングのみでピント合わせが出来る。
広角レンズ 35mm 1:3.5 装着状況
このレンズは学生時代使用していた Contax(上述)に装着できると知ったのでバイトをして購入し使っていた。 35mmレンズには F 1.8 もあったのだが、価格が倍以上したので F 3.5 しか買えなかった。
望遠レンズ 105mm 1:2.5 装着状況

 

カメラ上部左部である。巻き戻しクランクの下にあるリングは長焦点レンズのフレーム枠設定用の物である。
NIPPON KOUGAKU マークの前に凹みがあるが、どこかにぶち当ててへこんだ物で、このためにフレーム枠が引っかかるようになり、修理に出した記憶がある 。 ボデイの製造番号もここにある。
カメラ上面右部である。写真中央はシャッター設定目盛で左右に回して設定する。速度数字に色が付いているが、フラッシュシンクロの設定を間違えないための仕組みである。 その右はシャッターボタンとその外側には巻き戻し設定リングがある。巻き上げノブには自動コマ表示がある。
シャッター幕は左右に動くタイプ。 左上のファインダーは二視野あり、右に示すように広角用と長焦点用に分かれている。 長焦点用のフレーム枠は巻き戻しノブの下にあるセレクターを回せば視野内にフレームが出てくる。このフレーム枠は被写体との距離によってパララックスが自動的に補正出来るようになっている。 広角用にはパララックス補正は無い。

購入:380 現像:1024
 NIKON SP 購入時は白黒が主流だったので、白黒での試写も行った。 全て50mmレンズでの撮影。

購入:470 現像:630
カラーネガをスキャンしたもの。 特記無いものは標準50mmレンズ。 (左端は十月桜です)
105mm 1/250 f=5.6 1/500 f=6.3 35mm 1/500 f=5.6 35mm 1/15 f=4 1/1000 f=4 1/60 f=11