一級水系鶴見川

2006/12/20


鶴見川について

鶴見川は標高約170mの町田市上小山田の谷戸群の一角に発し、多摩丘陵と下末吉台地を東進し、沖積低地の入り口付近で恩田川と合流、その後は流れを緩やかにして東京湾に注いでいる。 河床勾配は恩田川合流点付近までの上流域では約1/250で、沖積低地の中下流部は約1/1000の緩勾配である。
主要な支流の内 恩田川、真光寺川が町田市を源流とし、神奈川県で更に8支川が合流する。

鶴見川の概要については、平成18年9月1日付  国土交通省関東地方整備局、東京都、神奈川県、横浜市作成の「鶴見川水系河川整備計画 pdf 」に詳しく出ている。

鶴見川水害の歴史(主なもの)

昭和13年6月  水害被災家屋 約11,800戸  末吉橋計画高水量  650 立方メートル
昭和33年9月  洪水被災家屋 約20,000戸      同上       900
昭和41年6月  洪水被災家屋 約18,600戸      同上     1,800 その他放水路で500立方メートルの調整
昭和51年9月  洪水被災家屋 約 3,950戸
昭和57年9月  洪水被災家屋 約 2,700戸

鶴見川の水質状況

BOD (mg/l) 全国ランキングで平成16年はワースト4位(平均値4.5)、平成17年はワースト2位(平均値4.7)とかなりひどい状況である。これでも平成6・7年頃は6.9だったので少しは改善していることにはなる。

源流の定義 : 「ある川の本流の水の流れ出るみなもと」
 
本流 土木用語辞典 mainriver,mainstream.1つの水系の中で、流出量、流路の長さ、流域面積など水文的な量について最も重要な1系統の川。本川、幹川ともいう。
源流 広辞苑 水の流れ出るみなもと。水源
水源 土木用語辞典 headwaters.一つの河川の最上流の部分

これによると、水源とは「最上流の部分」、すなわち「流」が条件に思える。常時流れのある最も先端としておこう。

上流部分を歩いてみて

源流から川崎市までの流れと周囲の環境の表情をここに纏めた。 この地域の特徴は(多摩)丘陵地帯であり、里山と谷戸の世界である。主要道路は低地を結んで通っており、里山が開発され住宅地は広がりつつある。 谷戸からの小河川の流域で区分けされていた生活圏が開発により広域生活圏になってしまった。水についても町田市の水道は97%を市外に求め(利根川水系と極一部が多摩川水系)僅か3%が自前の地下水のくみ上げである。従ってここに流れている水量の主体は流域以外からの水であろう。 そのため生活排水からの河川汚染を防ぐために、排水処理場が増強され、下水化に補助金も出されている。 今後は中水化に対する取り組みが必要になるのだろう。

丘陵地帯では住宅や道路は傾斜地を使わざるを得ない。年を取ってからの健康維持のための「歩き」は特に上りが大変である。その点で川沿いの遊歩道はうれしいものがある。 これについても縦割り行政の問題点が見える。

今まで何気なく見過ごしていた「丘陵地帯」「谷戸」について関心が深まった。これらについて今後調査をしてみたいと思っている。

 

源流の泉

この泉周辺は、町田市により約2500平米の「泉のひろば」として整備、木道が敷かれ、ボランティアが町田市と連携し、保全に当たっているという。 このあたりは田んぼ、里山が広がり、谷戸の風情が漂う。


泉に立てられている表示。 河口まで 43.9Km となっているが、そのうち鶴見川は 42.5Kmで、その差 1.4Kmは小山田川である。 これを見ると町田市の中心は鶴見川の流域を離れている。(境川の流域となる)

源流の泉からの水は写真中央左から流れ込んでいる。この水を加えて流れは水量を増して勢いづいている。 鶴見川最上流ではあるが、正式にはこのあたりは「小山田川」である。  それにしても源流からこのような護岸で固められた川とは想像できなかった。 また、写真から分かるように源流の泉からの水は既存の流れに合流しており、写真手前の水流を辿って遡ったところが源流点になるのだろうが、便宜的にこの池を源流としているようだ。。

小山田バス折り返し点より見た下流方向。

小山田川唯一の調整池(杉谷戸調整池)。 上小山田みつやせせらぎ公園に隣接のもので相当大がかりなものである。 小山田川はここでは地中を通っているようだ。 この調整池のすぐ下から鶴見川になっている。 左に少し見えるのは小山田小学校。

小山田小学校の近くにある「新橋」から見た上流の小山田川。 ここが鶴見川の上流端である。ここから鶴見川になる。

日大三高前の坂下橋から見た鶴見川上流方向。 新橋からこの坂下橋までの間にあるはずの、新竹ノ内橋、桜橋はミスした。

上流から見た日影橋。 橋の下にはビニール袋が捨ててあり見苦しい。

 


上流から見た図師大橋。 大橋とは言え橋長15mほど。 前方に見える丘陵により川は左方に曲げられる。

図師大橋から100m強で川は丘陵により曲げられ、更に100mほど下流の名もない橋から見た上流側。片側コンクリート護岸である。

河原橋川幅約12m

更に350mほど下ったところの山並橋を上流側から・・・。 このあたりは川に沿った道はなく、この写真を撮って橋までは道を引き返し800mほど歩かねばならなかった。

次の鶴見橋は鶴見川整備工事で架替中であった。

鎧橋を上流から。 このあたりにも川沿いの道はないので芝溝街道に戻って歩く。

芝溝街道から次の丸山橋にむかう途中にこのような案内板を見た。中央から右側はすでに散策済み。 ここから七国山を通る鎌倉古道があるが、尋常な道ではない。

下流側から見た丸山橋 ここから川に沿って遊歩道が整備されている。 丸山橋から上流側は工事中で平成19年3月末には上流側に125mの護岸と遊歩道が出来るようだ。総工費125百万円なので、1mの工事費が100万円かかっている。橋長約24m。

丸山橋から300mほど下流にはこのように流れが曲がりくねっているが、これをストレートに流す工事中であった。

参道橋付近の鶴見川。 新袋橋、袋橋 鍛冶屋車橋、川島橋を経て大蔵橋へ。

大蔵橋から見た下流側

春日橋、関山橋、住吉橋、弁天橋を経て歩き慣れた下川戸橋に出た。写真はこの橋に近接して配置されていた水深計。これによると、4mで橋桁が水にかかり、6m弱で護岸を超すことが分かる。 護岸幅約28m

下川戸橋から見た下流

川井田橋から鶴見川の管轄が東京都と神奈川県で5回入れ替わる。この写真は川井田橋から見た上流。東京都の管轄で川の両岸に遊歩道が整備されている。

この写真の護岸の仕上げと遊歩道の柵の色が違うが、ここで東京都から神奈川県に管轄が変わっている。

この新川井田橋と小田急の橋は神奈川県であり、ここで遊歩道はとぎれた。

迂回路を通って下流の大正橋(橋の中央で東京都と神奈川県に分かれている)から見た下流側。 この写真の左側は東京都で、右側は神奈川県である。神奈川県側は川に沿った道は遊歩道ではなく生活道路で車も走るし駐車場もある。左側の東京都はバイク禁止の遊歩道になっている。川を見ると神奈川県は雑草がきわめて少ない。源泉からここまで川の中の雑草を見慣れた目にはひどく新鮮に見えた。下流に見える橋は「かわいだ人道橋」で神奈川県の管理範囲。

かわいだ人道橋の次の橋が睦橋で鶴見川最後の東京都管轄の橋である。この橋の2〜30m下流から完全に神奈川県に入る。  写真は睦橋から見た下流側で、対岸に河川の管轄が変わる看板が立っている。

東京を離れたと思ったのは早とちりだった。約3Kmを追加する。


上と同じ位置。 水量が増え濁っているまた雨水排水路からの注入が多い。ここから約700m下流からまた東京都の管轄になる。

支流の真光寺川が合流するこの地点より6回目の管轄変更で、東京都管轄になる。神奈川県(川崎市)管轄部には遊歩道はなく川沿いの道は車やバイクと共用である。 

東京都最後の四ッ木橋から見た上流側。東京都管轄区域でもこの約500m上流から左岸(この写真の右側)のみは生活道路になっている。

恩廻(おんまわし)公園調節池でもって東京都から完全に離れる。早速離れたところに神奈川県のアイディアが出て来ている。

この近くに町田市の下水処理場があるので回り道を辿った。町田市は殆ど全て下水化しており、2カ所に処理場を持っている。処理した水は放流するのであるが、放流される下流のことまでは配慮がないのだろう。BODで90%、SSで85%除去が実用的に限界なのか。

ところがこのような看板があった。何で厚生年金なのか!! 国税か地方税の話ではないのか! 最後にこれを見てトサカに血が上った。

鶴見川の源流から神奈川県に入るまでで一応の締めとしたい。

川崎市分はまた時を見計らって続けよう。